ARTIST
アーティスト
清水千秋
Shimizu Chiaki
- 展示
1967年滋賀県生まれ。1987年から「やまなみ工房」に所属。清水は、これまで30年近く刺繍作品の制作に取り組んできた作家である。清水が選ぶモチーフは、テレビ番組や雑誌で見かけたタレントや映画のキャラクター、名画に描かれた人物など多岐にわたる。工房の施設長や母親といった身近な人々も題材となるが、清水にとっては画面越しに出会う人物も目の前にいる人物も、等しく愛すべき存在であり、刺繍の主題となる。下絵を布地に描き起こすと、清水はチェーンステッチで輪郭を縁取り、絵に色を塗るかのように縫い進めていく。その糸には鮮やかな色彩が多く使われ、フォーヴィスムを喚起させる大胆な色使いが特徴的である。モチーフとなった人物は、清水の独自の視点によってしばしば本来の姿とは異なる様相を帯びるが、そこにはわれわれの認識の揺らぎを誘うようなイメージの転換がある。
2020年頃から刺繍を行うことが困難になったため、筆によるドローイングを始めた。認知症の進行により、何を描いているか他者が判別しがたい作品も少なくないが、その筆致は荒々しくも自由で、喚起力に満ちている。その表現は、因習的な意味や解釈を拒む絵画表現を追求したゲオルク・バゼリッツを彷彿とさせる。主な展覧会に、「糸で描く。布に描く。」(もうひとつの美術館、2025年)、「ミュージアム・オブ・トゥギャザー」(スパイラル、2017年)など。
展示
岩瀬エリア
I-6|旧岩瀬銀行
《タイトル不明》2022年 アクリル、紙 やまなみ工房所蔵
《ともこさん》2022年 アクリル、紙 やまなみ工房所蔵
《壇蜜》2013-2015年 線刺繍糸、綿布 やまなみ工房所蔵